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デフリンピックと私たちの思い

スマホの「ピピピッ」という音だけでは、どうしても起きられない朝。あるいは、私たちが当たり前だと思っている「音で起きる」こと自体が、そもそも難しい人がいるとしたら。毎朝の安心を、どうやって届ければいいのだろう。「朝が苦手な人」と「音が聞こえない人」。社内での何気ない会話と小さな想像が、すべての始まりでした。

振動のこと

耳から入る音に頼らず、確実に目を覚ますにはどうすればいいか 。
答えは、体に直接伝える「振動」にありました 。

枕の下に入れて使う、パワフルな振動 。スマホの音だけでは起きられない人や、そもそも音が聞こえない人に、毎朝の安心を届けたい。そんな想いから私たちは振動式時計「ブルブル・クラッシュ」を形にし、まずは世の中に送り出したのです 。

そして、実際に使ってくださるお客様のリアルな声に触れるなかで、私たちにとってもう一つ大きな気づきがありました。それは、朝の目覚めにひそかな悩みを抱えている人が、思いのほかたくさんいるという事実 。

耳が聞こえにくい方や朝が苦手な方はもちろんですが、「同室で眠る家族を大きなアラーム音で起こしたくない人」「仕事柄絶対に遅刻ができない人」など、私たちが想像していた以上に、生活スタイルや環境によって朝の悩みは実に多様でした 。

一人ひとりの暮らしのなかに隠れた「困りごと」にそっと寄り添い、確実な目覚めをサポートする 。その姿勢の大切さを、私たちはお客様から学んでいったのです。

音のこと

そうしたモノづくりの歩みのなかで、私たちはひとつの大きな舞台と出会います。それが、聴覚に障がいのあるアスリートたちが集う国際大会「東京2025デフリンピック」でした。

この大会の最大の特徴は、競技中に音を使わないこと。スタートのピストル音の代わりに光や旗を使い、選手同士は目線や手のサインで瞬時に連携します。
音がないからこそ研ぎ澄まされる集中力。私たちはその「音のない熱戦」を知るにつれ、あることに思い至りました。

極限のプレッシャーのなかで最高のパフォーマンスを発揮するアスリートたち。彼らが戦いの舞台へ向かう前、異国の地の宿泊施設や合宿所で迎える「朝」を、私たちが培ってきた振動で直接支えられるのではないか。音に頼らずとも、安心して目覚められる環境を届けられるはずだ、と。

デフリンピックのこと

そこから、私たちは東京2025デフリンピックにトータルサポートメンバーとして協賛し「ブルブルクラッシュ」を提供する活動を始めました。

選手たちが宿泊するホテルのスタッフに向けて、時計の使い方や振動の強さを伝える研修に参加した日は、現場の声を直接聞き、私たち自身、ものづくりが持つ役割の大きさを改めて痛感しました。

大会100日前イベントで、東京都知事が壇上で私たちの製品を手に取り、「誰もがいきいきと暮らす、そんな社会へと変えていく」と語ってくださった瞬間。あの時の静かな感動と身の引き締まる思いを、今でも社内でよく話し合います。

世の中には、最新のデジタル機器やスマートフォンの進化だけでは解決できない課題が、まだ数多く存在します。その多くは、普段なかなか表に出てこない困難や悩みです。100人いれば、100通りの朝があり、100通りの夜がある。全員にとっての「完璧な正解」は、きっとどこにも存在しないのかもしれません。

それでも、枕の下の振動が、誰かの明日への不安を少しだけ軽くする。そのささやかな安心感の積み重ねが、やがて誰もが自分らしく生きられる社会を作るベースになっていくと私たちは信じています。

誰もが安心して眠りにつき、心地よい朝を迎えるためには、あと何ができるだろう。私たちは今日も、小さな安心の先にある豊かな生活について、考え続けています。

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