夜、天井を見つめたまま、時間だけが過ぎていく。朝、目覚ましが鳴っても、体が動かない。日中も、眠気がずっと抜けない。
そんな夜や朝を、誰にも言えないまま過ごしている人。思っているより、ずっと多いのかもしれません。

ある調査では、半分以上の人が、睡眠に何らかの問題を感じているそうです。それなのに、実際に病院を訪れた人は、7人に1人ほど。悩みの大きさと、行動の少なさ。この差は、いったいどこから来るのでしょう。

理由のひとつは、「どこに相談すればいいのか、わからない」こと。
内科でしょうか。心の問題として、精神科でしょうか。(ちょっとこわい...)それとも、ただ我慢するしかないもの、なのでしょうか。答えの見えない問いを前に、前に進めずにいました。
そもそも「眠れない」と一言でいっても、その中身はさまざま。夜に寝つけない不眠だけでなく、昼間に強い眠気が続くもの、眠っている間に呼吸が止まってしまうもの、体内時計がずれてしまうもの。ひとくくりにできないからこそ、止まっていたのも事実です。
もうひとつは、この国に長くあった空気。「寝る間を惜しんで頑張る」ことが、どこか美徳とされてきたこと。睡眠を、いちばん後回しにしていいもののように扱ってきた、その空気です。
そんな中で迎えた、2026年6月。小さくて、大きな変化がありました。
病院が「睡眠障害内科」という名前を、看板や広告に掲げられるようになったのです。厚生労働省のルール改正によるもので、こうした診療科名の追加は、実に18年ぶりのこと。

たった、名前がついただけ。けれど、その意味は決して小さくありません。
看板に「睡眠障害」と書いてある。それを見て、「あ、ここに相談していいんだ」と気づける。行き先の見えなかった悩みに、はじめて灯る道しるべ。名前がつくというのは、たぶん、そういうことなのだと思います。
この変化を長く後押ししてきた、睡眠の専門家がいます。40年以上前、日本ではじめて睡眠障害の専門外来をつくった先生。その方が残した言葉が、とても印象に残りました。
「幸せになるためには、眠ることです」
シンプルで、まっすぐで。忘れかけていた大切なことを、そっと思い出させてくれる言葉です。
とはいえ、病院に駆け込むほどではない夜も、きっとあります。そんなとき、静かに支えてくれるのは、やっぱり毎日の、ささやかな習慣。
寝る前に、部屋の明かりを少しだけ落とすこと。スマホの画面を見る時間を、少し短くすること。朝は光を浴びて、体をそっと昼へ切り替えること。
私たちがつくってきた光目覚まし〈Shizen Flow〉も、そんな習慣に静かに寄り添う、道具のひとつ。朝を、音でたたき起こすのではなく、光でゆっくり迎えるための。

「もしかして、自分は」と思う夜があったなら、どうか一人で抱え込まないでください。相談していい場所には、もう、ちゃんと名前がついています。
そして、今日のひと眠りが、明日のあなたを少しだけ軽くしてくれますように。
参考:厚生労働省「標榜可能な診療科名に係る医療法施行令の改正について」(2026年)/内村直尚先生(日本睡眠学会理事長・久留米大学学長)インタビュー、メディカルノート・Yahoo!ニュース(2026年7月配信)